Trans Human Institute

慶應義塾大学出身の商社マン並びに京大院生による思想研究ユニット(Trans Human Institute)。研究成果をはてなブログとニコニコ生放送でリリースしていきます。

資本主義とその行方(事例)〜人口と資源から〜

1.マルサスと現代

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資本主義の未来を予測する際にいま最も重要な思想家は、マルサスだ。彼は1798年の『人口論』で、人口が等比級数的に増えるのに対し、資源は等差級数的にしか増えないという法則を発見した経済学者だ。彼によると、経済成長が人口増を引き起こすと、その結果生まれる人口過剰は、利用できる食糧が養えるだけの人口にまで飢餓や疫病が調整するという。この予言がより破滅的な様相を帯びつつ、現実のものになりつつある。2011年に世界人口は70億人を突破し、今世紀中には100億人を超えると予想されている。いまや4日半ごとに世界全体で人口が100万人(10秒につき約25人!)増えているのだ。このスピードがどれほどのものかは、ホモサピエンスが初めて姿を現わしてから、1815年頃に世界人口が10億人に届くまでに、20万年近くかかったことを想起すれば十分だ。出生率は特に途上国で高い。増え続ける人口に対し、人々を養う資源の量は明らかに足りない。中国人がアメリカと同じように紙を消費すれば、3億500万トン消費することになり、地球上の森林は全て消えてしまうという。中国人がアメリカのように4人に3台の割合で車を所有しようとすると、毎日9900万バレルの石油を消費することになるが、現在世界全体の原油産出量は8400万バレルしかない。さらにこの産出量もいずれ減少することが予想されている。確認可採埋蔵量は減る傾向にある。産油国23か国中、14か国の油田ではすでに産油量のピークに達しているという。

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出典:国連人口基金東京事務所ホームページ

 

マルサスの時代は耕作可能な土地が減ることを心配したが、現代では他の生態系の脆弱性と人類との相互依存性、気候への影響、石油・石炭などの化石燃料原発の燃料となるウラン、食糧・水など、さまざまな資源が枯渇する可能性にも向き合わなければならない。人口増加、すなわち人々の有限資源に対する需要の増加は、資源の需給を逼迫させる。1950~1960年の間にアメリカが消費した石油の量は、それ以前の人類史を通じての消費量より多かったという。それは、海面上昇やハリケーンなどの異常気象、生態系の絶滅、飢饉、疾患、資源戦争などによって調整されることになる。地球温暖化は干ばつを深刻化させ、アメリカのニュー・オリンズを水没させるような激しい暴風雨を引き起こした。ヨーロッパでは、2003年の猛暑で3万8000人が亡くなった。第三次中東戦争の原因は、ヨルダン川の水源を巡る争いが引き金だった。<供給が需要を決定する>というセイの法則がもはや成立しない現在では総需要が逆に供給を制約しているように、資源の賦存量が生存可能人口を制限するのだ。

 

文責:THI002

 

今後も継続的に資本主義の行方に関する研究成果を発表していきます。  

ニコ生放送日予定

2014 10/18(土)23:00~にニコニコ生放送で「資本主義とその行方」というテーマで放送します!お時間がある方は是非ご覧ください!

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